昨日の別所温泉にある安楽寺の塔だが、日本の塔とはずいぶん違った印象をうける。中国の形式そのままのようだ。それを明らかにするために、中国の古い塔と比較する。
現存する中国の一番古い木造の塔は、1056年に造られた応県木塔である。昨日の、別所温泉の塔より遡るこ二百数十年前である。だが多くの共通点が見て取れる。これらの塔の特徴は、
1.八角塔
2.1層目に、釈迦如来坐像を祀る
3.第1層は二重の庇になっているが、それ以上の層は単一の庇
である。他の専門的な特徴もあるのだろうが、素人にすぐ分かるのはこれくらいだ。応県木塔の写真は、
ここを御覧ください。
安楽寺三重塔を見たときに、異様な感じを受けたのは、見たことが無い様式だったからだ。栄西が日本で最初に作った禅寺は博多の実家の近くにある。京都の建仁寺にしても、あるいは鎌倉にある禅寺にしても中国の様式のはずだが、そこには塔がない。従って、中国様式の八角塔というものに馴染みが無かった。それが、塔を最初に見たときに異様だと感じた理由だと思う。